Etudes, Books 1 and 2 / Gyorgy Ligeti

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これはまるでジャズだ。「ピアノ練習曲集第1巻」の第一曲は、激しいリズムで鍵盤を叩きつける。「無秩序」という表題がつけられているが、決して無秩序ではない。秩序なきように思われる激しい打鍵の中に、美しい旋律が隠れている。激しく、優しく、そして誇らしげに高揚する。実際に最も無秩序な印象を受けるのは、第2巻の最後「無限柱」である。まるででたらめに鍵盤を叩いているように聴こえる。楽譜を見たいものだ。

リゲティの練習曲は「左手と右手で、それぞれに異なった複雑で不規則なリズムを演奏しろ」というようなものらしい。実際にピアノを手にして弾いたことがある者なら、この曲を聴く楽しみも倍増するだろう。俺はピアノを弾かないのではっきりとはわからないのだが、「無秩序」「開放弦」「妨げられた打鍵」といった表題からは、あえてピアノ演奏というものの極限を求めた楽曲であることを思わせる。

「金属」や「魔法使いの梯子」、「宙吊りで」、「組み合わせ飾り」、「悪魔の階段」、「無限柱」など面白い名前が曲に付けられている。実際に聴いてみると、それぞれなるほどと思わせられる表題だ。「妨げられた打鍵」はいかにも指がからまりそうだし、「眩暈」は本当に眩暈をおこしそうな曲だ。「悪魔の階段」はどんどん上っていく感じがするし、「宙吊りで」を聴きながら宙吊にされて揺れると気持ち良いだろう。

これらの曲は、ジャズのエッセンスが感じられるとともに、繰り返しを強調するミニマル・ミュージックの影響もみえる。「金属」をはじめ「眩暈」「魔法使いの梯子」など第2巻の曲にそれは強く感じる。リゲティは難解だと思い込んでいたので、これらのピアノ曲に出会えて本当に嬉しい。とても面白い。これだからNAXOSからは目が離せない。現代音楽に通じた人だけでなく、ジャズやロックのファンにもぜひ聴いてもらいたい。

これらの曲は2001年2月、5月、6月に、ドイツ、ザントハクセンのクララ・ヴィーク大講堂で録音された。ピアノはイディル・ビレット。このCDは2003年にNAXOSから発売された。(20070105/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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1998年から「カルト・ミュージック・コレクション」というWebサイトを始めた。これを2006年12月からblogの形で再開することにした。音楽を心から愛する者のために、俺は書く!

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