Arcana, Integrales, Deserts / Edgard Varese アルカナ,8弁雌雄両性花,捧げ物,積分,砂漠

edgard_varese_arcana_integrales_deserts_small.png

エドガー・ヴァーレーズには「作曲家」という言葉より「作音家」という言葉がふさわしい。まるでおもちゃ箱をひっくり返したような音楽だ。目の前にある気に入ったおもちゃを手当たり次第に手にとって遊び、放り投げる。まさに、これこそ現代音楽の名がふさわしい。音楽の3つの基本要素は、リズム・メロディー・ハーモニーだと子供の頃に習った気がするが、ヴァーレーズの音楽はリズムもメロディーもハーモニーも真っ当ではない。リズムは蹴躓きつんのめり、メロディーはぶった切られ、ハーモニーは不協和音しかない。

想像力をかき立てるタイトルで有名な「Integrales(積分)」では、聴き慣れたフレーズらしきものが現れて気を許すとたちまち足元をすくわれてひっくり返されたりするのだが、まだ余裕を持ってヴァーレーズの音の遊びにつきあうことができる。やはりヴァーレーズらしさを最もよく味わうことができるのは「アルカナ」であろう。18分36秒の音の洪水に身をまかせると、音楽というものの価値感すら変わってくる。

Desertes(砂漠)は、14の管楽器とピアノ、5つのパーカッション、そして2トラックのテープのために書かれた音楽だ。リアルに演奏される楽器の音にまじって録音されたテープ音が重なってくるが、飛行機のプロペラ音や機械のモーター音、機関銃を連想させる音があるなど、やや時代的には古い印象を受けることは否めない。もし今日作曲されるとするならば、プロペラやモーターをコンサート会場に持ち込んだり、演奏者に機関銃を持たせて撃ちまくるように書かれるはずだ。

それにしても「積分」は1924年から1925年に、アルカナは1925年から1927年にかけて作曲された、つまり今から80年も前に作曲されたということに驚く。80年前の聴衆は、これらの音楽を、どう、受け止めたのだろう。それにしても現代でさえ、もしヴァーレーズの音楽を今までに聴いたことがないのならば、これらの音楽を楽しむことができる域に達するには、幾度も聴き込まなければならないだろう。ヴァーレーズの音楽は、そうやすやすと喜びを与えてはくれない。

録音は2000年の4月と5月。カトヴィツェ、グジェゴシュ・フィテルベルク・コンサートホールで演奏されたもの。演奏はポーランド国立放送交響楽団。指揮はクリストファー・リンドン・ギー。2001年にNAXOSより発売されたEC盤だ。(20070111/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
スポンサーサイト



COMMENT

Name
E-mail
URL
Comment
Pass  *
Secret? (管理者にだけ表示)

プロフィール

yoc

Author:yoc
1998年から「カルト・ミュージック・コレクション」というWebサイトを始めた。これを2006年12月からblogの形で再開することにした。音楽を心から愛する者のために、俺は書く!

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索