Aus den sieben Tagen ( Fais voile vers le soleil, Liaison ) / Karlheinz Stockhausen

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「7つの日より」と訳されるカールハインツ・シュトックハウゼンのAus den sieben Tagenは、15の曲からなる「直感音楽」である。この「直観音楽」とは、普通の作曲のように五線譜によって音程や音長さを記述するのではなく、テキストによる指示によって曲を構成するというもので、音楽に不確定性を持ち込む究極の手法だといわれる。

「7つの日より」を構成する15の曲はそれぞれ「RICHTIGE DAUERN (正しい持続)」、「UNBEGRENZT (無限に)」、「VERBINDUNG (結合)」、「TREFFPUNKT (合流点)1 and 2」、「NACHTMUSIK (夜の音楽)、「ABWARTS (下方へ) 1 and 2」AUFWARTS (上方へ)」、「INTENSITAT (強度)」、「SETZ DIE SEGEL ZUR SONNE (太陽に向かって帆を上げよ)」、「KOMMUNION (聖体拝領)」、「ES (それ) 1 and 2」、「GOLDSTAUB (金粉)」である。このCDには曲名が「Fais voile vers le soleil」と「Liaison」とフランス語で書かれており、これは「太陽に向かって帆を上げよ」と「結合」であるのだろう。

確かに通常の「楽譜」とは、音楽を記録する方法を持たなかった時代に、作曲された音楽をできるかぎり忠実に再現する方法として考えられたものである。しかし録音技術が発達した今日において、作曲家の意図通り忠実に音楽を再現する方法は、必ずしも楽譜によって記録されなくとも可能である。また五線譜では表現しきれない可能性を持った楽器、シンセサイザーの登場によって、新たな音楽の記録方法が必要になったということもあるだろう。

しかし「直感音楽」と名付けられるものは、果たして一個の「作品」として成立するものなのだろうか、という疑問は残る。実際に「直感音楽」として記述された楽譜を見たことがないのでなんとも言えないのだが、テキストで記述された楽譜に基づいて演奏する、という行為において、本当に作曲者の意図通りの演奏がなし得るのだろうか。また「不確定性」を持ち込むことが、そもそも曲の曲たる構成要素を無意味にしてしまうのではないだろうか。

ジャズやロックなどインプロビゼーションを重用視する音楽においては、そもそも曲のスタイルは、ある種「音楽の器」でしかなく、実際は演奏者の技法こそが音楽を楽しむ最も大きな要素であると言えるのだが、その意味ではこの「直感音楽」も、作曲者の決めたことは単なる器でしかなく、実際の演奏者の技法を楽しむものなのかもしれない。

極めて抽象度の高い音楽であるので、はじめて聴く人には驚きを感じるだけで終わってしまうかもしれない。そして必ずしも受け入れられるものではないのかもしれない。しかし様々な楽器による音が電子的に加工され、空間を立体的に構成された中に身を任せると、それは決して不快なだけのものではないことに気付いていく。楽器と楽器が互いに影響を与えながら、ひとつの音楽を構成していくさまは、音の使い方が通常ではないだけで、曲全体としては室内楽曲であることに変わりはない。

演奏は、Aloys Kontarsky(piano)、Michel Portal(clarinet in E flat,basset horn,bass clalinet,tenor saxophone)、Johannes G. Fritsch(viola)、Alfred Alings(tam-tam)、Rolf Gehlhaar(tam-tam)、Harald Boje(electronium)、Jean-Pierre Drouet(percussion:darabuka,two tam-tams,cymbals,crotales,cow-bells)、Jean-Francois Jenny-Clark(double bass)、そしてKarlheinz Stockhausen(filters and potensiometers)、Claude Ermelin(recording engineer)、Diego Masson(artistic director)となっている。

このCDは1988年にharmonia mundiから発売された、西ドイツ盤だ。フランス語表記がわかりにくいのだが、1969年にパリのDavout Studioで録音されたと書いてあるようだ。1970年にレコードで一度発売されたものらしい。(20070118/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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1998年から「カルト・ミュージック・コレクション」というWebサイトを始めた。これを2006年12月からblogの形で再開することにした。音楽を心から愛する者のために、俺は書く!

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