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Thirteen / John Cage

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ジョン・ケージは1912年にロサンゼルスで生まれた。父親は発明家で「だれかが『できない』と言ったなら、それはお前に何をすべきかを教えてくれているのだ」と言ったらしい。若いころは音楽家になろうと考えたことはなく、父の祖父はバイオリンを「悪魔の道具」と見なすような人だったという。そのような家族環境という点においても、ジョン・ケージは特異な作曲家であるといえる。

この「Thirteen」は、ジョン・ケージ晩年の作品である。ジョン・ケージは1992年に没するが、1987年頃から「One」「Two」など数字をつけた曲を作曲し始める。そしてこの「Thirteen」は、亡くなる1992年に作曲された作品である。ジョン・ケージがいかなる音楽の極みに到達したのか、という点でも極めて興味深い作品である。

さて、この「Thirteen」だが、話題にことかかないジョン・ケージの作品としては、意外に落ち着いた作品である。全体に起伏に乏しく、平坦な印象である。使われているのはフルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、トランペット、トロンボーン、チューバ、2台のパーカッション、2台のバイオリン、ヴィオラ、チェロ、といった13の楽器であるが、気持ちいいほど、演奏がバラバラである。全く統一感がない。各楽器はそれぞれに好き勝手な音をきまぐれに出している。そして一体、指揮者は何をしているのだろう。13の演奏者に、何らかの指示を出しているとはとうてい思えない。

ある意味において、この曲は、ジョン・ケージの発明のひとつなのかもしれない。全く統制がとれていないように思われる楽器の演奏。その統制がとれていない、という一点で統制されており、バラバラである、ということが、ひとつの全体を形作っている。そんなふうに考えながらも、もしかしたら全く意味づけなどないのかもしれない、という疑念も湧いてくる。

晩年のジョン・ケージは笑顔を絶やさなかったそうだ。この「ケージ・スマイル」を、一柳彗は「啓示微笑」と訳したそうだ。このCDのジャケット裏には、満面の笑みをたたえたジョン・ケージの顔がある。音楽を愛し、音楽に挑み、音楽の喜びを味わい尽くした顔である。もしかしたらこの曲も、ジョン・ケージの悪戯のひとつであり、あの世で舌を出しているかも知れない。そんなことを思いながら、この曲を聴くのは、それは、また、味わい深いものだ。

俺は、ジョン・ケージが大好きだ。(20070207/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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ジョン・ケージの生年を1982年と間違えて記述していたものを修正(2007/03/03)
  • ホチキス先生#-
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  • 2007.03.03(Sat)
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プロフィール

yoc

Author:yoc
1998年から「カルト・ミュージック・コレクション」というWebサイトを始めた。これを2006年12月からblogの形で再開することにした。音楽を心から愛する者のために、俺は書く!

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